記録的に早かった桜~春が暖かくなっている
◆記録的に早かったソメイヨシノの開花
この春のソメイヨシノの開花をふり返ると、記録的に早くなりました。東京では3月14日に全国のトップを切って平年より10日早く開花し、東京において統計史上最も早い開花タイ記録でした。ソメイヨシノの統計開始は1953年で、この70年間、全国的に見ても開花が早くなっています。この理由の一つは、ソメイヨシノの開花に大きな影響を与える春の気温が、年々上昇していることがあげられます。特に、東京においては、開花の基準となっている靖国神社のソメイヨシノが老木となっていることも理由の一つに考えられます。
この他、統計史上最も早い開花(タイ記録含む)となったのは、3月15日に横浜、17日に甲府、名古屋、埼玉県熊谷、18日に前橋、19日に大阪、20日に水戸などでした。
◆東京、サクラ600度の法則
2月1日からの最高気温を足して、約600度になると東京のソメイヨシノは開花するという法則があります。ソメイヨシノは“自然の温度計”と言われるほど、気温との関係が深いのです。
ことしの東京は、2月1日から28日までの最高気温を足して338.8度でした。いつもの年より速いペースで暖かさを積み重ねてきました。3月になって更に暖かい日が続き、3月8日から4日間連続で20度以上となりました。そして、14日には2月1日からの最高気温を足して593.2度となり、開花となりました。
◆春の気温上昇には、都市化の影響も
春(3月~5月)の気温は、国内で都市化の影響の比較的小さい地点を平均して、100年あたり2.0度上昇しています。これが、いわゆる温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化による気温上昇と考えられます。
これに対して、国内を代表する大都市の札幌、仙台、東京、名古屋、福岡では、100年あたりの春の気温上昇は各都市とも3度以上となっています。特に、東京では100年あたりで3.4度上昇し、東京が全国で最も早い開花となるのも都市化の影響があると見られます。
2023年3月26日
気象予報士・防災士 平井信行