入院中の母に気象情報を届けることで看病
2024年8月14日
母が7月上旬に緊急入院しました。重い荷物を運ぼうとして転倒し、背骨の圧迫骨折をして救急車で運ばれました。
母は入院する直前まで毎日、私が出演する気象情報をビデオに撮って保存していました。これが母の楽しみであり、生きがいなんだろうなと思っていました。そして、入院中の母に私ができる看病と親孝行は、気象情報を伝える姿を見せることだと思いました。
母の病室には、ベットの横にテレビがあり、夜9時の消灯までテレビを見ることが出来ます。私の出演するNHK首都圏ニュース845の気象情報報は、夜8時55分から9時までの5分間、消灯の時刻まで私の姿を見ることが出来ます。「きょう母は元気にしているかな?」と思いながら出演しています。
私が気象キャスターになったばかりのころ、ある先輩が私に教えてくれたのを思い出しました。「気象情報というのは、入院中の人に外の様子が分かるように伝えることなんだよ。」と。この年齢になり、恥ずかしながら、先輩の言ったこがやっと理解できました。「真夏の花サルスベリが咲き始め、きょうも強い日差しで気温は40℃近くまで上がりました。午後は入道雲が沸き立ち、雷を伴った土砂降りの雨になりました。」と、ごく当たり前に気象情報を伝えることが、一定の温度に管理されて窓の一部からしか外を眺めることのできない静かな病室では、気象情報が病院の外の状況を知る手段の一つだったとは、、、。。
これからも、この気持ちを大切にしながら、気象情報を伝えて行きたいと思います。
2024年7月25日
気象防災アドバイザー(国土交通省委嘱)・気象予報士・防災士
平井信行